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一日後の夜中。
私の胸は筋肉まんみたいにガチガチにかたくなった。
「なんかおかしいんです!」
ナースコールをした。
「これは母乳がでるからよ。マッサージしないと。」
無愛想なナースがいった。
脇に氷を挟んで、
痛みをやわらげる。
乳線を開通させるため
授乳室でナースをまった。
まわりには母子同室となった産婦とあかちゃんがいた。
うらやましかった。
私もはやく抱いてあげたい‥
乳線の開通は思いの外、
激痛だった。
マッサージという名前の癒やし効果は無い。
バンバンに張った胸を、
これでもかというくらいつままれる。
痛いとかの話じゃない。
一時間かけて張りついた胸を剥がすが、初乳は出てもせいぜい20㏄くらい。
そんなんでもちゃんとカップにいれて、私の子供のもとへ運ばれた。
あんなん飲んで大丈夫なの!?
自分の体からでたものが、
とても善い成分だとは思えなかった。
でも助産婦たちは口を揃えて
「絶対母乳がいい」といった。
人工のミルクのほうが真っ白で綺麗なのにっておもった。
初乳なんて白さもないし、体液の分泌物的なものだったし。
胸の張りは勢いを増し、2時間置きに搾乳した。
搾乳を勝手にしてくれる機械もあったが、勢いがすごすぎて腫れてしまったので手搾りとなったのだ。
これがまた痛い‥
しかもこまめにやるので、
一時間以上かかる。
そんなもんだから、
睡眠なんてまともにとらない日がつづいた。
そんな中でも、
一日に三回は子供をみにいった。
面会時間が決まっていたからその時間に合わせて、痛む傷口に歩き方がひょこひょこなりながらも行った。
ミルクを直接あげさせてもらえるようになった。
子供はまだ箱のだけど、
手を入れる穴があってそこから哺乳ビンであげる。
なんと飲ませるのは自分の手で絞った母乳だった。
実際に運んでいるのを
あげてくれていたんだ
という事実がなんだかうれしかった。
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