産声

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『退院できた?よかったなぁ。』 電話口でのビー君。 日に日に子供の顔は人間らしくなり、 それはそれはかわいらしくなっている。 それを彼と分かち合おうというキモチは、この頃から薄れていたような気がする。 出生届け等の手続きは、 ビー君にしてもらった。 『今度はいつこれるの?』 ビー君に聞くと、 『お前迎えに行くときだから、日にち決まったらおしえて。』 『…あぁそう…』 それまで来る気はないということね。 『ガソリン代もったいないやん?』 …まったく頭にくる。 実家で気楽にさせてもらおう。 そう思って電話を切った。 母乳は出ていたけど、 乳首に傷があり直接は痛すぎてあげられなかったから、 毎回時間がきたら搾乳して 補乳瓶であげた。 やっぱり睡眠時間は一時間しかなかった。 三時間置きに繰り返す。 でも不思議ときつくなかった。 もう4月の半ばだったけど、 まだ肌寒く風邪をひかせないようにと心掛けた。 ある日不思議な感覚に囚われた。 母乳をあげながらうたた寝していた時だった。 足元にスゥーっと人がいる感じがした。 段々と上の方にきて、 ハッと子供を見ると 目がパッチリ開いていて ニッコリ笑ったように見えた。 そのときは全くわからなかったけど、その前後に撮った写真にくっきりと『存在しない人』がうつっていた。 恐くて触れないでいたけど、子供に何かあったら大変だとおもってお寺にもっていってみてもらった。 そしたら、 『ここにうつっているのは親戚の方ですね。赤ちゃん見にこられたんでしょうねぇ。大丈夫ですよ。』 多分、この家の大じいちゃんかなぁ?おじさんにしては顔がきつい感じだから。 気になってみにきてくれたんだね。 念のため写真はお寺に納めてきたけど、あんなにハッキリ顔が映ると恐い。 霊感とかないから、 信じてなかったけど、 この頃くらいから 魂とかホントに信じてきた。 世の女性は『魂』を育める唯一の存在なんだ。 人間の神秘とか、 なんかエナジーとか… 自分で生んどいてなんだけど、改めて感動した。
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