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忘れてた。
野菜ジュースを買ってくるのを忘れてしまった。
水でいいや、と思い『いろはす』が貯蔵してあるはずの冷蔵庫を開けた。
「あれっ?」
野菜ジュースのペットボトルが3本。
買ってきた記憶なんて全くない。
そもそも僕は、3本も一気に買えるような人間ではない。
「真奈美か……」
僕の習慣を理解してくれるのは貴女しかいないし、知っているのも貴女だけだ。
感謝の気持ちをこめながら、ペットボトルのキャップを開けた。
ガラスのコップも輝いていた。
野菜ジュースを飲みながら、部屋を見渡してみた。
シワシワだったスーツは綺麗にされていた。
玄関の靴も綺麗に並べられ、普段使わない調理器具もピカピカに磨かれていた。
別人の部屋のようだった。
情事のあと、貴女は静かに寝息を立てて寝ていたかのように見えたが、違ったのか。
女は怖いな(笑)
いや、自分が騙されやすいだけか?
そんなことはどうでも良い。
……同居しようかな…。
でも、それは自分が自己中なだけなのかもしれない。
自分の出来ないことを貴女に全て押しつけようとしている弱い僕。
同居どころか、貴女と付き合う資格さえ無いのではないのだろうか。
でも、貴女がいない生活を考えるととても悲しくなる。
悲しくなるどころでは済まないのではなかろうか。
僕の生きている意味が、価値が、無くなってしまう。
貴女は僕のすべてだ。
面と向かっては言えないが。
それほど貴女が大切で、好きで、愛しているんだ。
携帯がまたチカチカ光っていた。
「真奈美っ」
僕は叫んでいた。
貴女と繋がっているのが嬉しかった。
僕は慌てて文面を確認した。
『また逢おうね😍
今は朝食タイムなんだ😜
5時半になったら仕事開始😒
あと、野菜ジュース補充しておいたよ。
余計なお世話だったかな?
ごめんね💦』
余計なお世話なんてΣ(-Д-)!!
逆デス。
とても感謝しています。
『余計なお世話なんかじゃない。
凄い感謝してる。
ありがとう。』
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