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「っとごめん、話がそれた」 私は目を大きく見開き、両手を胸の前で振った。と、同時に肩にかけてあった白衣が落ちてしまったが、当時の私は勿論そんなことに対して全く気付いていなかった。 「い、いえ!私が悪いんです!先輩は謝らなくて、いいんです!」 あ、やばい、固まった。彼は私のことをじっと見据えている。対する私も最初は同じように目を合わせていたが急にハッと我に帰り、頬だけを赤くしたまま固まった。 「……構いません」 とっさに口に出てしまったが、この状況では特に間違ってはいないだろう。 「…………」 私の目の前には疑問しか浮かべてないような顔をした先輩が、そこにはいた。 前言撤回、間違っていました。 「いや、あの、その……」 詰まる私。 「それでも、構いません。私は、この部活に、入部したいです」 絞り出して言う。 そしてそんな私の訴えに気付いた先輩はまず噎せた。 なんだろう、どうすればいいのだろう。私は一体どういうリアクションを取ればいいのだろう。 まあ、結論から言えば椅子に座っている女子中学生の向かいで、大げさに噎せながら口を抑えている男子中学生の図がそこにはあった。 口を開く先輩。 「あ、ありがとう!ありがとうありがとうありがとう!嬉しいなぁ嬉しいなぁ嬉しいなー!わーいわーい!」 はしゃぐ先輩、どうやらそんなに嬉しかったようだ。最初に噛んだのは大げさに噎せすぎたのが原因らしい。 先輩のやけに幼く、しかし元気に喜ぶ姿を見て、私はやっぱりこの部活を選んで良かったと、どこかそう思った。 そして、それと同時に『そっか、私中学生になったんだ』と、意味の分からないことを考えてしまった。 我ながらバカだなぁとさえ思う。だけどそれは、紛れもなくどうしようもない事実だった。 「僕の名前は瀬戸康太、これからよろしくね」
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