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私がなぜここにいるかというと主に二つの理由がある。 まず一つ目、私は人との関わりを極端に嫌うからだ。それは具体的には小学校高学年――小学六年生の時のある出来事の所為なのだが、ここでは深く触れないでおく。というか触れたくない。 その例の出来事までは普通の、ごく普通の、どこにでもいる普通の女の子だった。仲のいい友達とは休日にも一緒に遊んだりする。ここら辺は田舎なので変に着飾ったり、取り繕ったりせず、分け隔りなく遊んでいた。 ただその出来事以来、私は周囲との接触を避けてきた。まあ、実質その期間は現在までを含めても一年に達していない訳だが。 親に無理を言った私は必死の勉強をし、地元から少し離れた私立の中学に入学した。とりあえず、一刻も早く小学校の思い出を消したかった。消去したかった。 だけどそれは少し時間がかかるかも知れない。田舎だから地元から来ている生徒も何人かいた。それに短期間とはいえ刻まれた傷は深い。もしかしたらかなり時間がかかるかも知れない。 二つ目の理由。……二つ目の理由は一つ目の理由とイコールで繋がっているので、正確には別々に分けなくてもいいのだが。まあそこは多目に見ていただきたい。 私はこういう性格なので、テニス部やバレー部に入ったところで、何も出来ないだろう。そんなの、目に見えている。 それは運動部に限ったことではない。吹奏楽部やその他部活のある文化部ももちろん。私には向いていない。 この学校では一年の間、必ずどこかの部活動に属していなければならない。先日、全校生徒で集まって体育館で部活動紹介を行った。そのくらいのやる気だ。 私は死に物狂いで探していた、部員が少なく、何もしなくてもいいような部活を。 部活動紹介ではまず始めに運動部が紹介をした。テニス部やバレー部、バスケ部などは実際にネットを出して打ち合いやランニングシュートを行っていた。 そういう人達を見て私は素直に感心していた。周囲を避けてると言っても嫌っている訳ではない。だからそういう人達を見ているとほんとに凄いなぁとは思う。 続いて文化部。吹奏楽部は実際に演奏を行った。指揮者付きの本格演奏だった。家庭部や書道部などは部活で作ったという作品を発表した。ここでも私は感嘆しまくりだった。 私が入りたいと思った部活は最後から二、三番目の紹介だったような気がする。 文化部といえど部員はそこそこいる。
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