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今まで見てきた部活はみんな三人から五人くらい、少なくても二人で紹介をしていた。ただその部活の紹介は、一人だけだった。 ボサボサの髪で黒縁の眼鏡をかけた男子生徒が一人立っていた。 彼は平坦な口調で活動内容、日時だけ言うとさっさと帰ってしまった。明らかに他の部活と違う匂いがした。やる気がないのが伝わってきた。 その後の部活は、確か二、三人で紹介をしたと思う。つまり一人で紹介をしたのはその部活だけだ。 最初に言っておくがこれは消去法だ。部員が少なくて、一番何にもしなくてもいいような部活を選んだ結果、私はこの部活に入ることに決めた。 あんないかにもな人がいる部活もどうかと思ったけど、総合的に考えた結果、そうなったんだから仕方ない。 つまり私はそのくらい、人との関わりが嫌いだったのだ。 私立月潟中学、三階、理科室手前。私はその扉を、右手で小さく添えた。 入部届。一年一組、津野芽衣子。入部先、科学部。
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