Ⅰ始まりの祝詞

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   クトゥルフ復活以来、人類は魔術という便利なものを使用可能となっていた。    いや、クトゥルフ復活以前の世界でも様々な魔術師や魔術団体は存在していた。    だが、クトゥルフが復活後、人々の中にある“力”が最大限まで引き出され、以前よりも遥かに使用可能者が出て来た。全ての人類が使えるとまでいわれている。    魔術とは特別な人のみが使えるというわけではない。正しい手段を踏めば誰でも使用は可能になってしまったのだ。    しかし、高度なモノになるほど話は違って来る。    魔術だけに関して言えば魔力だけでなくそれを補佐する魔術書、そして才能が必要になってくる。  魔力の多さ=才能ではなく、どんなに膨大な魔力があっても才能なしには発動することは無理だ。その逆も言えて才能があっても魔力が無ければ話しにならない。     また、魔術の中には召喚術も含まれている。    その代表例が悪魔召喚だろう。    勿論高度なものも多く含まれ、“明けの明星”等の高位になると犠牲が必要だが、比較的手軽に呼べる。    しかし、それでも彼の言葉は脅しにしかならなかった。    何故ならこの街には魔術師は住んでいない。それどころか居ることさえ出来ない。  理由は多々あるが…       「フィンセントこーまじゅつとか使えないくせにー!」 「怖くない!」 「嘘丸出し!」    子供達もその事実を知っているようだ。        裏道を抜けると、昼間の太陽がフィンセント達を鋭く出迎える。    その公園は道路を挟んだ向こう側にあった。木々が生い茂り、そこだけ違う世界。   「…」    だが、そこでフィンセントは思った。    
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