Ⅰ始まりの祝詞

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   この街に黒人が存在してはいけない理由はクトゥルフ復活後、まず人類を最初に殺戮し出したのが黒人というところにある。    当時邪教を崇拝していた黒人がいた。彼らはその神の像を奉り、道徳など通用しないやり方で邪教信仰をしていたという。  そしてその神・・・クトゥルフが復活した暁に、彼らは最高にして最悪の殺戮術を学んだ。たったそれだけの事。    とはいっても、この街はあまりにもやり過ぎだ。いくらそれが黒人だったとしても邪教信仰をしていたのは僅かで、他は無罪、むしろ被害者なのだ。それにこの話が事実かどうかも危うい。  それでも悲しいことにこの街の掟はこの街の全てだ。守らなければ死が待っている。   「やぁ、どうも。こんにちは。神父さん」  アンセルムは至って普通にフィンセントに話しかけて来た。   「貴方は・・・」 「アンセルム・クルヴォックといいます。教会の神父さんですね」    彼はそういったが、フィンセントは彼を知らなかった。    この街にはキリスト教徒、しかもまったく同じ宗派の人間しかいない。    日曜には教会に人々が押しかける。  直接表に出ることはないが大体の人間は覚えていた。
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