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俺はジャン・アルベール。
パリの下町でパン屋を営んでいた。
しかし、そのパン屋は俺のパン作りの技術の未熟さが原因で経営難に陥ってしまった。
そんなんだから友人にはパン作りより他の職業が向いているとよく言われていた。
1939年9月3日、この日にイギリス、フランスがドイツに対して宣戦布告をして戦争が始まったが、俺は関心など少しも持ていなかった。
しかし、そんな俺も戦争の早期終結を望まずにはいられなかった。
ドイツ軍がフランス本国に侵攻してきたころから小麦が手に入りにくくなり、値段が高騰したからだ。
1940年6月14日、この日は小麦の値段と閑散とした店内の様子にため息をつくだけの日常とは違っていた。
店に朝から誰一人として客が来ない。
いくら不味いパンを売る店だからって客が全く来ないわけではない。
もし客が1人も来ないならとっくに店は潰れている。
客が来なくて暇だから店を良心市状態にして外に出かけた。
特に行きたい場所があるわけではなく、なんとなくコンコルド広場に向かった。
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