泣かない子供の泣かせ方

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

気が付くと、そこは薄暗い部屋だった。

普通の民家で、少し散らかっている。
物は少ないけど、多分女性の部屋だ。

立ち上がろうとして、背中の後ろで腕に痛みを感じた。
振り返ると、ベッドの足に両手首を縛って逃げられないようになっている。団子結びになった荒縄に、私は冷たい視線を向ける。

「……私に縛る程の価値は無いわよ？」

答えの無い静かな空間の中で、私は立ち上がるのも逃げ出すのも諦めて、ただ浅く座った。