泣かない子供の泣かせ方

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バン!! と激しい音を立てて、突然部屋の扉が開いた。 入って来たのは、背の高い女性だった。 黒い上下のジャージに、何故か室内なのにブーツを履いている。黒い固い革製だ。 おまけに手袋までして、長い髪をポニーテールに結っている。 彼女は部屋の電気を点けて、私が起きているのを確認した。 私は突然ついた電気に目をパチパチしながら、逆光で見にくい女性の顔を見上げていた。 「お前んち、親いねぇの?」 「……」 突然の質問に、私は何も答えられずに呆然としていた。 状況がさっぱり把握出来ない。 彼女は答えない私に、ちっ、と舌打ちをした。 「最近の餓鬼は本当に無感動で鈍臭いのな。質問には答えろっての…」 私は彼女の強烈なインパクトに、その口汚い言葉にも反応出来ないでいた。 「もっかい聞くぞ?てめぇの家は今、留守なのか?」 所謂不良座りで私に目線を合わせ、彼女は私の頭をガッと掴みながら聞いてきた。顔は今にもキレそうな怒りが滲んでいる。 私は何も理解しないまま、ただただ頷いていた。 彼女はまた舌打ちをして立ち上がった。 机に腰掛け、私と向き合う。 「今の状況が理解出来てないだろ。簡単に言うと、私が誘拐犯でお前が人質だ」 彼女はそう言って、笑った。 「よろしく!!」
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