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「……誘拐犯?」
「そうだ。お前を連れ去って、親だか国だかから金をふんだくるんだ。上手くいきゃあ時給1000万円だぜいぇい」
そう言ってピースをする。
犯人が、人質に向かって。快活に。
「とはいえだ。親が居ねぇと話にならないわけよ?何時くらいに帰るんだ?」
彼女は知らないのだ。
なにもかも。
ふ、と私は思わず笑った。
彼女が怪訝な顔をする。
「何笑ってんだ?てめぇは人質だぞ?」
「親なら居ません。帰って来ないですよ」
「……あ?」
彼女はあんぐりと口を開けて固まった。
その阿呆面に、私は腹癒せのように言ってやる。
「私の母は4年前に死にました。父は生きてますが、去年人を殺して捕まってます。人殺しの娘に、だれがお金を払うんですか?」
「……」
「人殺しの娘だという理由で、私は虐められています。だからさっき、私は死のうとしていたいました。あなたが連れ去ったのは、人質になるような人間じゃ無いんですよ?」
言葉もない女性に、私は笑った。
彼女の快活な笑いとは違い、ニタァ…と。
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