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――°。゜.・゜
祭りばやしが この祭り全体を包み込むように響いている
屋台がずらりとならび、人々の声があちこちで飛び交っていた。
巡畄の手をしっかりと繋ぎなから、
三日月は巡畄に届くように大きな声をはりあげた。
『どうだ!巡畄初めての祭りはツ』
巡畄はげっそりとした顔をして答えた
『人が多すぎる』
『ははっ祭りはみんなが毎年楽しみにしている行事だからな
この賑わいがあってこその祭りなんだ』
『ふーん』
巡畄は相変わらず青い顔をしていた。
そんな時、一段と人が多くなり人の流れが速くなった。
すると、
『おっと』
巡畄と三日月が繋いでいた手が、離れそうになった。
ふたりは、離れないように必死に手を伸ばした。
けれど、人の波は大きくなるばかりである。
ついに、手が離れてしまった。
『巡畄!!』
『ミカヅキ!』
人の波がふたりを引き離していった。
妖しモノの幼ない巡畄にとって、大勢の人の中に一人だけというのは恐怖以外の何者でもなかった。
この世界には、妖しモノが存在していることは普通だった。同時に、妖しが"使われる"ことも普通だった。
妖しを命在るものとしてみず、物として"使う"最低な得たいのしれない人間が巡畄は嫌いであり怖かった。
ただし、三日月を覗いて。
三日月は母親じゃない、けれど巡畄にとって母のような大切な存在なのだ。
『ミカヅキ!ミカヅキ!』
巡畄は泣きそうになりながら、三日月を必死に呼んだ。
『ミカヅキ・・・』
不安と恐怖に耐えられなくて、顔を俯かせた。
そんな巡畄は、突然温かさを感じ驚いて顔を上げると巡畄と同じ泣きそうな顔をした三日月に抱きしめられていた。
『巡畄っ良かったぁ・・・』
三日月はやっぱり 呼ぶと直ぐに返事をくれた。
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