その1

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夏の暑さも和らいできた10月 学校から帰って早々母親にリビングに呼び出され2階にある自分の部屋で制服からスウェットに着替えて1階に降りていった リビングに入るとまだ仕事しているはずの父親が何故かいて、ダイニングテーブルの椅子に神妙な面持ちで座っていてびっくりした 「お父さん、仕事は?」 大きくはないが広告会社を経営している父 最近はよく残業していて帰り時間はいつも夜遅くなってから 日をまたぐのもめずらしくなかった 「心。とりあえずこっちに来て座りなさい」 私の質問は答えてもらえず、自分の正面にある椅子を指差す 言われるがままに椅子に座るとお茶を入れた母が台所から出てきた お父さん、私、そして自分の順にお茶をおいて椅子に座った 「心。あのな、今お父さんの会社少しやばいんだ」 「は?」 お父さんの言葉が信じられず思わず疑問の声が口から出てしまった
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