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俺はひろとから預かった校長のカツラを手に校長室の前まで来た。
ひろとめ…俺にこんなの預けやがって……
俺、何もしてねぇ
はぁ、とタメ息を大きく吐いたところで緊張が沸いてきた。
やはり怒られるのは嫌だ。何もしてねぇのに怒られるって意味わかんないし。
コンコン、遠慮がちに厚い茶色のドアを叩く。
「どうぞ」
ドアの奥から校長の声が聞こえてカツラを握り締めおそるおそるドアを開く。
初めて入る校長室は珈琲の少し苦い香りが漂っていて
長方形のテーブルとテーブルを挟んでる2つのソファ。
奥に大きな机。正に校長は偉いぞってのがわかる。
校長は笑顔も見せず俺に近づき手に握り締めたカツラを凝視。
俺は視線に気づきカツラを校長の前に差し出す。
「……あの、すみませんでした。」
さて、謝ったし怒られないうちに帰ろう。用は済んだし。
体をくるりと回して校長に背を向けながら「失礼しました」と歩きながら言った。
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