2人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はかなた。
俺には馬鹿なひろとって友達がいる。
こいつが本当に、馬鹿。
するとダダダッと向こうから学校の廊下をランドセルを揺らしながらひろとは笑顔で走ってやって来た。
「あ、かなた!おはよ!」
「ひろとおはよう、ってどうすたの?そんな急いで」
俺の言葉で思い出したらしく「あ」と言ってランドセルから何かを取り出す。
それを見て俺は驚愕。
「…………ひろと、それは?」
ひろとは無邪気に笑って「いいでだろ!」とグイグイ見せてくる。
「あのな、さっき廊下で見つけたんだ!校長先生のカツラ!なぁ面白いなーあひゃひゃ」
何を一人で笑ってやがるひろと!
あほかお前は!!
「馬鹿ひろと!すぐ返してこい!」
「えー?せっかく見つけたのにか?」
「見つけたも何も校長先生のだろーが!今すぐ返してこい!今、この瞬間で返してこい!」
「はぁ?それは無理だぜかなた。人間ってそんな早く動けねぇって。つかなんで焦ってんの?」
いやいやなんでだよ!
お前さっきすごいスピードで俺のところ来ただろ?
目を輝かせて来ただろ?
どうして今そんな冷静に人間分析してんだよ!?
俺の頭の中で朝から口に回らないくらいの突っ込み量。
ひろとは俺の話を聞かずにカツラを自分の頭に被せて遊んでた。
……………もう俺、知らね。
小学四年の俺ではひろとの馬鹿に負ける。
こうなったら逃げるが勝ちだ。
俺はひろとを置いてもうダッシュで教室まで走った。
最初のコメントを投稿しよう!