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「言葉ってさ、いざというときに全く使えねえな…」
いつものように一緒に帰ってると、悟が何か言ってくる。
「生徒大会で、執行部に対し、タイツを廃止し、ニーハイにするべきだと訴えて、あの会長さんすら言い負かしたくせに、何言ってんのよ」
「あれは別に俺が絶対領域萌えとか、そうゆうのじゃないんだからな!!
女子がニーハイの方が好きだと思ったから、一肌脱いだだけさッ!!」
「あほ!!雪国の女子にとってタイツは必需品なのよ!!あんたのせいで授業中ひざ掛けが手離せないわよ!!」
ったくバカ悟……。
いや、バカはあたしかも。
何でいつも言い合いになるのかしら?
仲良くしたい。ケンカなんてしたくない。ただ隣で笑ってたい。隣にいてもらいたい。
そんな風に思ってるのはいつからだったっけ?
たぶん2、3ヶ月ぐらいだと思う。
隣で、ため息が聞こえる。
いや、指の冷たさを息で和らげてるだけかも。
もう11月かぁ…。
ハァーっと指に息を吹きかけ、寒さを和らげる。
息も白くなりつつあった。
「手、寒そうだな」
顔を上げると、心配そうな目をした悟がいた。
「別に、大したことないわよ」
「いや……でも……その………」
悟は何をしているんだろう?
「陽子!!」
指先をつかむゴツゴツとした温もり。
いかにも不器用そうな手だ。
「えっ!?」
何!!悟!!大胆だよ!!
私、悟に可愛らしいところなんか見せれてない。
異性として見てもらえてるかすら不安だったのに。
「手、冷たいな」
悟の温もり。
悟の手の温もり。
いつかこれを、独り占めできる日がくるのかな?
悟の口元が動く。
私はどんな言葉を期待してたんだろう。
そんなことすら、忘れちゃう一言が、私の耳にやって来た。
「知ってるか、手が冷たい人って、心も冷たいんだぜ」
……………………ホシニナレ☆
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