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これまでの不安な気持ちはその姿を見ただけでどこかに消えた。とにかくダムのもとへ行きたくて川に飛び込んでいた。
ざぶーーーーん!!!!
『まこと!!』
うっすら聞こえるダムの声。こんな時にも以外と冷静に川底から見上げる水面がキラキラと綺麗だと思える。なんだかキラキラが近付いてくると思ったらダムが泳いで助けにきてくれた。あぁ……本当に、なんて綺麗なんだろう……………………俺を包む優しくてたくましい腕、たす、かっ…………………………………………
「真琴!しっかりしろ真琴!!!」
「ゲホッ!ゲホッ!!っ!!ダ、ム……」
川に飛び込んだはいいがどうやら俺は溺れてしまったらしい。目を開くと夕日色に染まったダムの顔が視界を占める。至極近い距離……。
助かったんだ……俺……
パシッ!
一瞬何がおきたかわからなかったが……頬が熱を持って……、イタイ……。
「何故あんなところから飛び降りた!」
「ご、ごめんなさい。迷惑かけて……」
「違う。迷惑とかじゃなくて、何も飛び込まなくても、ライフルの射程距離内だから、……もう少し俺を信じて欲しい」
そうだ、前に危ない時は頭を抱えてしゃがめと言われた。俺に危険がないようにダムが助けてくれる術として。確かにライフルなら届く距離だったのに。
「ダムの姿がみえたら安心しちゃって、ダムが助けてくれるって勝手に甘えて………ゴメン………早くダムのところに来たくて………」
「/////」
甘えた考えをした自分が恥ずかしくて、申し訳なくて俯き加減にダムを少し見上げると、夕日に照らされるダムは朱く、静かに俺の頭を撫でてくれた。
「殴ってしまった……。すまない」
掌で優しく頬を包まれる。
「ックシュン!」
まだ完全には抜けていない薬のせいか、寒さのせいかガタガタと膝が震え出す。
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