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死亡診断書には体格について記す欄はないが、亡くなった老婆の身長は百四十五センチであると、わざわざ書き添えられていた。
自分の身長の半分以下の高さで首を吊ることなどできるものだろうか。
若槻は書類の束を持って、電話中の葛西の様子をうかがった。
顧客からの苦情らしい。 京都支社で保全を担当している役付職員は若槻と葛西の二人だけだったので、ほかに相談すべき相手はいなかった。
生命保険会社の支社事務の仕事には、大まかに分けて新契約と保全の二種類がある。
新契約というのは、文字通り顧客が新たに保険に加入する際に契約を成立させるための事務手続きである。
一方、保全というのは、既契約者についてのアフターサービスを指している。
保険金の支払いなどの金の動きが直結しているだけに、何らかのトラブルや犯罪が絡むことも多い。
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