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葛西は、昭和五十年に大阪市内の私立高校を卒業後、昭和生命に入社したのだが、身心ともにタフであることを買われて一貫して保全畑を歩かされてきたベテランだった。
北海道の某支社における入院給付金の支払いをめぐるトラブルで暴力団事務所に一昼夜監禁されたという話は、社内では語りぐさになっていた。
客が言うことに、いちいち大げさに相槌を打っていた葛西が、人を和ませるような明るい声で笑い始めた。
たいしたことではなかったらしい。
実際、顧客からの苦情のほとんどは外務員や事務職員の説明不足によるもので、こちらがきちんと話を聞けば解決することも多かった。
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