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「葛西副長……」
葛西が受話器を置くのを見計らって、若槻が立ち上がろうとした時、ふいに正面のカウンターから怒声が聞こえてきた。
「お前ら、客をなんやと思っとるんじゃ?」
ぎょっとして目を転じると、五十過ぎくらいの貧相な男が仁王立ちになり猿のような金壺眼で女子職員を睨み付けていた。
白髪混じりの髪の毛は寝癖で逆立っており、あろうことか、よれよれの縞のパジャマを着ている。
その格好のままバスに乗って、家からここまでやって来たらしい。
またあいつかと若槻はうんざりした。
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