1996年4月8日
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荒木という名前で、仕事をしているのかしていないか暇を持てあまし、半ば趣味のようにして、どうでもいいことで支社の窓口に難癖をつけに来る男だった。 いくら高姿勢で怒鳴られても、保険会社側は、ていねいな対応をせざるをえない。 それが病みつきになり、日頃自分が会社から疎外されている鬱憤をひそかに晴らしているのだ。 カウンターの前に座ったり後ろのソファで順番を待っている客達も、一様に不快げに眉をひそめていた。
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