1996年4月8日

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「あぁこれ、例の左京区の火事の分ですよ。」 三週間前に木造家屋が全焼して、一家五人が焼け死んだ事件だった。 合計十五件もの死亡保険金の請求が一度に出てきていたために、件数が膨らんだのである。 大半は貯蓄性の高い五年満期の養老保険などだった。 頼まれると嫌とは言えない性格の人たちだったのではないかと若槻は想像した。 ノルマが厳しいのだという外務省の懇願に断り切れずに、次々と加入してくれたに違いない。
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