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そのころはまだ僕は僕たる所以であるこのきれいな白色の髪は所持していなかったね。黒髪だった。
適当に切った黒髪だった。近所の床屋で切った坊ちゃん刈りのような、短髪だった。いまのきれいな白髪ボブとは比べ物にならないような代物だったね。
つまりそのころの僕は普通の普通の少年だったんだ。」
ナースステーションの看板を見上げて、言葉を詰まらせることなくしゃべり続ける彼の目は寂しげなように見えた。実際悲しいのかは僕にはわからない。
少なくともこの殺人マシーンのような男が、そんなもの微量でも持ち合わせているとは思えなかった。
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