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――狼騎side――
やっぱり、相当疲れてたみたい。
いつもなら、無理矢理にでもオレに色々愚痴って聞かせてたのにね。
こうして大人しく人の言うことを聞くなんて、滅多にない。
リュウにとって、オレは頼れる人なのかな?
そう思いながら、リュウの髪を優しく撫でる。
「ねぇ、リュウ・・・」
誰かに聞かせる気はないけれど、呟く。
「リュウの為に、オレは選んだんだよ」
二度と人を殺さない、という誓いを破って、暗殺者になった。
リュウを殺そうとする奴らを殺すために。
女であることを捨て、普通の人として生きる事も止めた。
・・・元々、オレを人と呼んで良いのか分からないけど。
「守るから・・・。絶対」
リュウを傷付ける奴は赦さない。
こんなオレでも、リュウにとって幼なじみとして、親友として接してくれる?
昔みたいに二人で色々やって、馬鹿みたいにはしゃぐなんて望まない。
友達以上の存在であることも望まないから。
「忘れないで」
オレはリュウの味方だということを。
小さく呟いた言葉は、誰の鼓膜も震わせないで、風に紛れて消えていった。
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