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――元久side――
浪は今、俺の部屋に連れて寝かせてある。
服に何が仕込んであるのか知らないけど、凄く重かった。
それはどうでもいいけど、浪はあれから一向に目が覚める気配は無い。
時々唸り声が聞こえる程度。
こんなのは初めてだから、正直どうすれば良いか分からない。
「・・・っ、ぅあ゛ぁ゛あ゛ぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「浪!?」
突然浪が悲鳴を上げた。
「っはぁ、ぁ゛、あ゛ぁ゛・・・ぅ・・・」
「浪、しっかりして!」
苦しそうな悲鳴を上げる浪をどうにかしたくて、身体を揺する。
暫くすると、浪が薄く目を開いた。
「浪!」
「元、久・・・?どうした・・・。・・・何で、元久の部屋に」
「王道君の首を絞めたあと、体育館で気絶したんだ」
「首を絞めた・・・?」
「え?もしかして覚えてないのか?」
「全く・・・。あの毛玉がお前に向かって走って行くのを見た瞬間、何かが切れる音がして・・・そこから今までの記憶が飛んでる」
「マジか」
「マジだ」
惚けてる訳ではないみたいで、更に困ってしまう。
暫く沈黙。
そして浪が立ち上がった。
「て、大丈夫なのか?」
「何がだ?」
「体調」
「問題ねぇ」
「いや、でも気絶してるときやけに唸った挙げ句苦しそうな悲鳴上げてたし」
そう言うと、浪は眉根をを寄せて黙った。
そして一言、
「忘れろ」
と言うと出て行った。
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