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――浪side――
元久の部屋を出て、自分の部屋に戻る。
毛玉の首を絞めた、という事は全く覚えてないが、意識が有ろうと無かろうと、多分同じ事をしていた。
自分が出来る、せめてもの罪滅ぼしとして。
例えそれがエゴイズムであっても。
「・・・はっ、馬っ鹿らしい」
心は捨てる。
情に流されない。
守れた試しがないじゃねぇか。
自分が馬鹿に思えてくる。
首元のペンダントを出し、眺める。
二つの装飾品が付いたそれは、一つはあの人から、もう一つは絶対に護ると決めた奴から。
それを眺めてもの思いに耽ったままいると、ドアをノックする音がした。
時計を見れば部屋に戻った時からかなりの時間が経っていた。
また、ノックの音。
チャイムだってあるのに・・・。
そう思いながら玄関に行き、ドアを開いた。
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