気絶中の夢とその後

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「お前、これって・・・」 「趣味です」 「・・・マジで?」 「えぇ」 無理矢理納得させる。 そして、何よりも会長自身がそう思い込もうとしてるしな。 あ、やっべ。 「会長、先程はすみませんでした」 「・・・いきなり何だ」 「暴言を吐いてしまった事です」 「あぁ・・・。別に気にしてねぇ」 「お詫びにケーキと紅茶を食べてって下さい。疲れてる時には甘いものが良いと言いますし」 「いや、見舞う奴にさせる訳には・・・」 会長が何か言ってたけど無視して用意をする。 因みにケーキは手作り。 紅茶を煎れ、リビングに戻ると、会長が少し居心地が悪そうな顔をしていた。 「どうぞ」 「あ、あぁ・・・」 「大した物でなくてすみません」 「いや・・・。これ、手作りか?」 「はい」 「すげぇな」 「そんなことは無いです」 そして若干強張った感じでケーキを食べる会長。 その間は終始無言だった。 そして食べ終えて一言、 「美味かった」 僅かに顔を綻ばせてそう言った。 「良かったです」 「何だろうな、お前の見舞いに来たはずなんだが・・・普段と変わんねぇ気がするぜ」 「それで良いと思います。俺も心配されるより、普段通りに接してもらった方が良いです」 「そうか」 再びの沈黙。 口を開いた会長から出た一言は、予想外のものだった。 「お前は、俺の事をどう思ってるんだ?」 「え?」
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