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翌日、朝のHRにて。
「今日は特に連絡はないよ。でも、テストが近いから、勉強、頑張ってね」
香月先生がそう言った直後、俺は手を挙げた。
先生は直ぐに気付いてくれた。
「どうかしたの、時景君?」
「テスト前だから、俺と元久から提案があります」
そう言うと、クラス内がざわめいた。
「何かな?」
「このクラスの勉強の相談は全て俺らが引き受けます」
そう言うと、更にざわめきが大きくなる。
そして一人の生徒が立ち上がった。
学級委員長の若王子 渓(ニャクオウジ ケイ)だった。
「君が勉強を教える?そんな、頭が良いようには思えないな。そんなの見た目だけだろう。言動は粗い上に、授業はまともに受けていないのに、そんな事を言わないでくれないか」
「普段の態度だけで人を判断すると痛い目に遭うぜ、学級長サン?」
「ふん、そんな安っぽい挑発に乗るわけないだろう?」
「ククッ・・・どうだかなァ」
「ならばテストの順位を言ってみたまえ。私は学年16位だ。このクラスでは一番高い。君がそれよりも高ければ認めてやろうじゃないか」
あーあ、思いっ切り挑発に乗ってんじゃん。
ま、良いけど。
その言葉こそ俺が一番待っていた言葉だしな。
少し口元が緩む。
それが癪に障ったのか、苛立った様子で順位を言うよう催促してきた。
「そんなに聞きてぇんなら教えてやるよ・・・。俺の順位は学年1位だ」
瞬間、クラス中が喧騒に包まれる。
俺に対して、嘘つきだの何だのの文句を言ってくる奴もいた。
思いっ切り机を手の平で叩く。
バァン!!
というかなりでかい音がして、クラス中が今度は静寂に包まれた。
「文句がある奴は正面切って言いやがれ!嘘だと思う奴は調べろ!そうする気もねぇ奴らに、ゴチャゴチャ言われる筋合いはねぇ!!」
それだけ言うと席に着いた。
元久は隣の席で、微かにニヤついてる。
この状況を楽しんでるようだ。
暫く沈黙したままだったが、学級長がクラスを代表して香月先生に聞いた。
「先生、先程の話は本当なのですか?」
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