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社会科研究室には香月先生しかいなかった。
そして、香月先生が振り向くと同時に毛玉が現れた。
『君は・・・Sクラスの東郷君だね』
『香月ってお前の事だろ!お前は先生として失格だぞ!!』
『どうしてそう思うのかな?』
『あの金髪の奴のクラスを担当してるんだろ!?なのに、あの金髪は俺に嫌がらせとかしてくるし、自分では何もしない!俺を侮辱してるんだ!俺は誰からも愛されるべき人間なのに!あいつに関わる奴は皆俺を侮辱するんだ!俺の方が偉いのに!お前がそういうことを直させないのだって悪いんだぞ!!』
相も変わらず自己中心論を展開する毛玉に、香月先生は困ったように笑いながら話し出す。
『君は、とても周りから大切にされて育てられて来たんだね。昔からそういう環境だった。だから、君は勘違いしてるんだ』
『何だよ・・・お前まで俺の事を侮辱するのか!?』
『違うよ。僕が言いたいのはね・・・』
『言い訳なんてみっともないんだぞ!やっぱりお前は先生失格だ!!』
そう言うや否や、香月先生に飛び掛かると一方的な暴力を振るい出した。
親衛隊長達、特に香月先生の親衛隊長には怒りで気を失ってしまうほど衝撃的な映像だった。
勿論、俺も元久も何も感じない訳ではない。
元久は強く噛み締めた唇から血が流れているし、俺も無意識に握った拳が震えている。
見終わってから暫くの間、会議室に沈黙が流れた。
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