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「それでは、ご注文したものはこれで良いですか?」
テキパキと仕事をこなしていく様はやはりそれなりの所で学んできたからなのだろうか。
つーか、元久どんだけ頼んだんだよ。
俺の目の前では、何だろうな、こう・・・形容しがたい量の料理が並んでるんだ。
普段は普通の量なのにな。
よし、明日から元久の弁当の量は二倍にしよう。
「あと・・・貴方は紅茶ですね」
カチャリと軽く音を立てて紅茶の入ったカップが、俺の前に置かれる。
「え?俺頼んでなんか・・・」
「俺は頼んでないからねぇ~?」
「私の独断です」
「あの・・・」
「嫌でしたか?」
少し悲しそうな顔をするウエイターさん。
罪悪感を感じたから咄嗟に否定する。
「いいえ、有難うございます。・・・もしかして、俺が頼んでないのが分かりましたか?」
「はい。一応食堂を利用して下さる方のことは、万が一の時のためになるべく把握するようにしてるんです」
「凄いですね、尊敬します」
真面目に仕事してくれる人は、俺にとって大半が尊敬の対象になるけどな。
少しだけ微笑んで感謝の意を再び伝えると、そのウエイターさん(ネームプレートには織岡(シキオカ)とあった)は、はにかんでから持ち場に戻って行った。
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