『プロローグ』

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ピピピ ピピピ 朝、9月だというのに茹だるような暑さの中で目を覚ます。 目に少しかかる前髪を切ってしまおうか割と真剣に考えながら、ベッドから抜け出して寝間着から制服に着替える。 うちの高校は今日から2学期が始まる。かったるくて仕方ないが、学校指定のカバンを持ってリビングに向かう。 ちなみに、俺の部屋は2階にあってリビングは1階にある。 階段を降りると、台所からリズミカルな包丁の音と共にいいにおいが漂ってくる。 「おはよう、悠太」 その二つの発生源である兄貴が台所から顔を覗かせて朝の挨拶をしてきた。 俺はそれに手を上げることで応え、リビングにカバンを置いて、洗面所に顔を洗いに行く。
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