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小学校低学年の頃、イジメの内容は石やボールを投げられたりするくらいだった。
イタミを感じない。
いや、感じることができない僕には『その程度のコトだ』と、片付けられていた。
しかしながらそれは、学年が上がっていくごとにエスカレートする。
教科書がバケツいっぱいの水の中に放り込まれた。
クラスみんなの前で全裸にさせされた。
机と椅子が無造作に廊下に放り出されていた。
学校に持ってきて読んでいた、僕の大好きな小説はもう、落書きだらけで読めない。
今も続くボールや石ころを使ったリンチ紛いは、言葉通り痛くも痒くもない。
けれども、ビショビショになった教科書を、親や先生にバレないように乾かしたあの日。
誰にも見られたくなかった恥部を、クラスみんなに見られてしまったあの日。
朝、学校に来て自分の席がなかったあの日。
そして大好きだった小説を、そっと、学校のゴミ箱に捨てたあの日。
僕の中にどうしようもなく、ネバネバと執拗にまとわりついて、モヤモヤと霞がかった一種の霧のようなものが、確かに生まれては消えゆくのを感じたのだ。
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