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月桂樹は流星の下に ―星の芽吹き― 第一章
夜空に瞬く、無数の星々
アルデバラン、ベデルギウス、アルタイル…いくつもの星の名前を覚えた、城のテラス。
幼い頃の追憶、星座を目線でなぞり深く入り込む。
いつ頃だっただろう、自分が周りと違うのだと自覚したのは。
記憶を一つ一つ覗きこんで、小さい頃――――七歳の記憶で、それに当たった。
リュウジと一緒に遊んでいた時だ、はしゃぎすぎて川に落ちてしまった。
俺は泳げたし、川の流れも緩やかだったのだが、泳げないし水にトラウマを持つリュウジはばしゃばしゃと水を跳ねさせて、パニックに陥った。
すると一目散に大人が俺に駆け寄ったのだ、どうみても助けるべきはリュウジで、俺ではない。
俺は慌てて「リュウジをたすけて!」と声を張り上げてようやく、大人はリュウジに手を貸した。
そこで初めて、俺は「おうぞく」で「おうじさま」なのだと、理解した…。
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