月桂樹は流星の下に ―星の芽吹き― 第一章

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姉さんが行ってしまってから、俺も彼の事が気になっていたのでついて行けばよかったと若干、頭の片隅で思いながら部屋を出た。 食堂目指して下まで降りると、鎧を身に付け弓を担いだガゼル(フウスケのあだ名だ)が目に入った。 ガゼルは祝い事があまり好きではない、だから毎年毎年祝い事の日になると街から出てしまう。 弓を担いでいる所を見れば、今回は修練しに何処かへいくらしい、最もここは山の斜面に出来た街なので行くところは森しかないが。 こちらに気付いたガゼルが、目で物を言うとさっと踵を返しすたすたと城門の方へ歩いて行った。 相変わらず冷たいな、と苦笑いしていると今度は、これまた鎧を身に付けたバーンとデザームが居た。 おかしいな、二人はたいてい何時も、城に残っているのに。 「…と、言うことだ。」 デザームに詳しく話を聞くと、昨日またガゼルとバーンがどちらが強いかで張り合いを始めたらしく、今にも試合を始めてしまいそうな雰囲気だったのでデザームが抑え込んだのだが、朝になれば話が変わり、何故か修練に行くことになっていたらしい。 つまり、バーンとガゼルの修練試合にデザームが巻き込まれた、と言うことか。 まったく、はたから聞けば迷惑な話だが、バーンとガゼルにとっては張り合いはコミュニケーションの一つで、デザームは修練が趣味のような物だからあまり気にしてないようだった。
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