除雪された雪のように

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真新しい制服をぎこちなく着て、まだ2回しか履いていないのコンバースの黒のハイカットに無理やりかかとをねじ込んだ。 我が家の凄く建て付けが悪い扉は本日はまだ「スッと」開いた。 おととい入学したばかりの中学に通う足取りは軽く。保育所から一緒の「ほだか」を誘いに行くと案の定、大分待たされた。僕はせっかちだったし人を待つのは嫌いである。 しかし中学校というのは新しい事尽くしではじめて尽くしだったので、ワクワクする一方、不安であった。 本来ならすで放って先に行く所だったが1人で行きたくないので待つことにした。 ほだかと通いなれない通学路を歩いた。 桜の花が半分ぐらい散っていた。 僕が通っていた中学校は裏に「しん池」と呼ばれる野池があった。 しん池は誰かが放流したブラックバスがたくさんいた。 僕が小学生の時、しん池に行くのは禁止されていたがそれを破りほだかと「オイカワ」を捕まえた事をふと思い出した。 後、しん池にはスズメバチの巣があったりカブトムシやクワガタも採れたり「ゲジゲシ」という正体不明の本当に気持ち悪い虫?もいた。 しかししん池で一番僕たちが怖くて危険だと思っていたのは「シンナー中毒者」だった。 スーパーによくある透明の袋がしん池にはいっぱい落ちていた。 透明袋の中には黄色や赤のペンキが入っていたり、透明の何かの液体(多分シンナー)が入った袋で散乱していた。 僕たちは不安と期待を持ってまだ新鮮な中学校に登校した。 まだ本格的な授業はなく今日はクラブ紹介だった。 体育館に集められ、各部活が自分の部活動をアピールして新入生に入ってもらうという施しだった。 僕は野球部に入ろうと思っていた。 小学2年生から野球をやっていたし、少年野球で一緒のチームだった1つ年上奴らがいたし何よりも野球以外興味がなかった。
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