ごく普通。

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──キッチンで、私は今朝も大雑奏を奏でる。 それは、何時もと変わらない、月曜の朝。 「母ちゃん、俺の体操着知らない!?」 と、長男の公貴(キミタカ・小二)が慌ただしく階段を駆け降りて来た。 “冬でも短パン”が譲れないポリシーの、絵に描いた様なヤンチャ坊主。 だけど、強いのかと思いきや、真っ先に風邪を引き、ウイルスを我が家に持ち込む、運び屋。 「体操着は先週末学校に忘れて帰って来たでしょ!?」 「ああ、そうやった!」 ……テレビで覚えたらしく、公貴の口からは、たまに関西弁が出る。 「お願いだから、今日一回持って帰って来てね!」 ……きっと臭うから。 「うん。じゃ、行って来るね!俺今日、生き物係やから!」 シュタッと右手を直角に挙げそう言うと、ヒット曲『ありがとう』を口ずさみながら公貴はキッチンを出て行ったが…… 「はい、行ってら……って公貴、上履き!」 典型的な忘れ物番長でもある彼は、やっぱり何かしら忘れていた。  
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