ごく普通。

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「まぁ仕方ないか。じゃ、行って来るね、さーちゃん」 と、“さーちゃん”と名付けたぬいぐるみをテーブルの上に置き ちゅっとキスをして、勇大も小学校へと向かった。 ああ、ちくしょう。 可愛いなあ、おい……。 女として、羨ましくも少々妬ましくも思いながら見送っていると、 「おかーさーん……」 入れ代わりに末っ子のはる(年長・さくら組)が目を擦りながらパジャマ姿で入って来た。 はるはウチの子唯一の、正真正銘、女の子だ。 「おはよう、はる。顔を洗って、制服に着替えてね」 「はぁい……」 おっとりした性格の上に、まだまだ寝足りないのか、とぽとぽと歩きながら はるは洗面所へと向かった。 「ふう……」 一息ついて、洗い物を片付ける為、私は再び流し台に向かう。 ……と。 「はる、起こして来たよ、まち」 ふわりと後ろから抱きしめられ、耳元で囁かれた。
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