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それで危うく、洗剤の付いた皿を落としそうになる。
「あ、ありがとう、隆也さん……」
そして、今日も私の前に、最凶の敵が現れた。
「どういたしまして」
……夫、隆也(タカナリ・会社員)である。
この人、ハッキリ言ってとんでもない人物で。
その笑顔だけで、老若男女問わずコロコロと誰でも落として行く。
彼が歩いた道の後には、胸を押さえ倒れた人の……は、流石に言い過ぎか。
実の所、私も射落とされた一人なのだが。
でも、彼のホントの恐ろしさを知ったのは、交際を始めてから。
隆也さんは……腹の中が真っ黒でした。
口で言うのも恐ろしくなる程に。
だから私も何度も断ち切ろうとした。
けど……駄目でした。
だって彼は……
私がキュンとするツボを押さえ過ぎてるから。
それに、私の気持ちを持ち上げてから、一気に奈落まで叩き落とし……最後に優しくする。
この絶妙な戦略にハマり、私は……彼からのプロポーズをうっかり受けてしまって……今に至る。
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