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「ねぇ、まち……?」
こんな風に甘く甘く囁いて……
「な、何ですか?」
私をドキドキさせる癖に
「肥ったね」
容赦ない冷徹ボイスに早変わり。
「……」
「弛み過ぎでしょ、肉も生活も」
そして更に留目を刺す。
今の気持ちを具体的に例えるなら、脳天に踵落とし喰らわされた気分です。
て言うか漢字……“肥える”の方使うとか、ダメージ二割増しだ……。
「ひ、酷……!」
しかし、涙ぐんだ私が「酷い」と言い切る前に、隆也さんは頬に軽くキスをした。
「痩せて綺麗になったら、もっとしてあげる」
得意の笑顔でニッコリ笑ってそう言うと、彼は私から離れた。
「……」
わあ……頑張って、痩せよう。
って……だ、ダメだ。
私、ダメだぁぁぁぁ!!
弱すぎる、あの笑顔に。
流しで一人自己嫌悪に陥っていると、
「あれ……まち、働くの?」
ダイニングテーブルの前に立った隆也さんが私に尋ねた。
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