無様な茶番劇

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今思い出しても胸糞が悪くなる。 あの二つの出来事があったせいで、自分の中にうっとおしい存在が生まれてしまったのだから。 消したくても消えない。 長年続いた悪夢のような日々のせいで、自分の中に芽吹いた二つの存在は色濃く成長してしまったのだから。 たとえ潰してもまた新しい芽を出すのは目に見えている。 こいつらが消えないと、この終わらない茶番劇はいつまでも続く。 カビ臭く、埃っぽい会場と狭い舞台でも、登場人物さえ居たら劇を始めてしまうことが出来るのだから。 出来るならば一席しかない客席から立ち上がり、飛び入り参加として舞台を壊してやりたい。 だが、いつだって自分の座る椅子は身体を離すまいと手首を拘束するのだ。 これでは動くに動けない。 忌々しいこの時間。 自分の中で濁った感情が吼えるのを押えながら、今日も客席から舞台を見上げる。
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