夜明け

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私は仕事をしていない。 それでも生活には特に不自由する事はなく、日々、悠然と過ごしている。 当然、働いている人に比べれば時間は余る程にある訳で… 毎朝、その日をどう過ごすかを考えるのが日課の様になっていた。 けれど、時間を持て余している訳ではなく、数通りはあるその日の行動を選択しているのだ。 それに、仕事をしていないからと言っても、必ずしも暇だとは限らない。 私が仕事をしていない事は、近所の皆が知っている。それでも、外を歩いていれば、皆、温かい笑顔で挨拶をしてくれる。 それどころか、差し入れを貰うことすらある。 いくら世間知らずの私でも、それがどれ程有り得ないことか…、どれ程有り難い事か…、それ位はわかる。 いや、定期的な収入源を持たない私にとっては、その有り難みは他の人が感じるレベルの遥か上を行くものかも知れない。 だから私は何時からか、近所で人手が必要な時は進んで参加し、従事する様になっていた。 けれど、こんな雨の日は、わざわざ出歩く事も無い為、大概は一人で部屋にいる。 簡単な朝食を済ませた後、部屋へ戻り、再びベッドに横になった。
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