大切なもの <ライル・ウォーカー>

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「なぁルーク」 「何だい?」 「お前たちにも"死"はやって来るのか?」 どうなんだろう… 基本、僕達に寿命というものはない。 ただ時が来れば僕達の体は大気に溶け込み、そしてまた新たな生命体として個を授かる。 そこに"死"という概念はなくて、ただあるがままを受け入れているだけ… 僕がそう答えると、ライルは一度目を伏せてから口を開いた。 「俺たちにとっては"死"は終わりなんだ」 「うん」 「死んじまったらもう何も出来ない。大切なものを守る事も出来なくなっちまう」 「うん」 「・・・俺たちはたった二人だけの兄弟だ。両親が死んでからずっと二人で生きてきた。 あいつを守るのは俺の役目だ。だから俺は、あいつが一人前になるまでは死ぬ訳にはいかねぇんだよ」 「そっか・・・」 僕はこれ以上何かを言う事はできなかった。 それを否定するだけの何かを僕は持ち合わせていなかったからだ。 部屋の中にはシュンシュンと湯気を立てるヤカンの音と、カチャカチャと食器を片付けているグレンの音だけが響いていた。
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