大切なもの <ライル・ウォーカー>

15/18
前へ
/84ページ
次へ
「グレン!!」 「・・・ライル」 話を聞いたのか、ライルが息を切らせて家に戻ってきた。 「おいルーク!!これはどういう事だよ!!」 「落ち着いてよライル…グレンが起きてしまうよ」 家に入るなり襟を掴みあげてそう怒鳴るライルを宥めて、僕は部屋を出た。 「死病だそうだよ」 「――何だって?」 「肺を病んでる。 鮮やかな色の喀血、今まで続いた咳…それらを鑑みて、まず間違いないそうだよ」 「そんな――」 今の医学において肺の病――通称"死病"は治療不可能な病気だ。 名前の示すとおり、発症したら最後、それはそのまま死に直結してしまっている。 「何でなんだよ…」 「・・・ライル?」 「何でなんだよ!!死ぬのは俺のはずだろ!?何でグレンが死病なんかになってんだよ!!」 僕は何も答えられなかった。 僕が知っているのは、今回の相手であるライルの事だけだからだ。 ただ今の所、僕以外の使者の気配は感じないから、今すぐどうなるという事はないはずなんだけど… 僕がそれを告げると「そんな事言ってんじゃねぇんだよ!!」とライルに怒鳴られてしまった。 「そんな事じゃねぇんだよ…何で…ちくしょう!!」 「ライル――」
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加