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彼は、この国の為だと言った。
王として当然の義務なのだと。
前例のない処罰を断行した為に、たぶん彼の名は歴史の黒い染みとして記録されるんだろう。
でも、それも全て民と国の為だと言う。
「あー、何だかすっきりしないなぁ」
「煩いぞ、ルーク」
初めて会った時と同じく、この執務室には僕と王様の二人きりだ。
ただ一つ、あの日から一ヶ月、時が経っているという事を除けば、だけれど。
「だいたい、王様も何でそんなに落ち着いてるのさ」
「ふん、今更足掻いた所で何も変わらんのだろう?」
「そりゃそうなんだけどさ…」
それにしたって落ち着きすぎじゃない?
優雅にお茶なんか準備しちゃってさ。
「やるべき事は全てやった。思い残す事は何もない」
そう言いながらお茶の準備を始めた彼を僕はどこか腑に落ちない気持ちで見つめた。
何だろう…
何かが引っ掛かるんだよね…
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