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そうか・・・
だから彼は"真実"を知りたがったんだ。
僕が目の前に現れたその時から、自分に残された時間で出来る最善の事を成そうとしたんだ。
全ては
弟の為に――
「成程ね、これですっきりしたよ。
君は弟の為に、この国の火種を消してしまいたかったんだね」
――もっとも信頼する友を疑ってまでも…
「・・・この国と民の為に、だ」
「はは、素直じゃないね」
心優しき弟が、身内の罪を罰する事がないようにしたかったんでしょ?
そして、これからの政において邪魔になる存在を消し去ってしまいたかったんでしょ?
例え自分が"烈王"と呼ばれ、非情なる王としてその名を歴史に刻まれようとも――
「ねぇギル…」
「何だ」
「君は誰が何と言おうと、この国にとって必要な『王』だったと思うよ」
僕がそう言うと、彼はお茶を注いだ銀のカップを手に不敵に笑った。
毒に反応するその器に注がれたお茶が、普段の"それ"と違う色をしている事にも目もくれず、カップを口に近付けながらただ一言、こう答えた。
「最高の賛辞と受け取っておこう」
Fin
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