第一章

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「は、はいっ!プリント届けに来ました!」 やっぱりか。 届けさせる学校も学校だが、届けに来るこいつもこいつだ。 暇なのか? まあ、そんなことは口には出さないが。 「そう。ありがとう」 実際には少しもありがたくなんかないけれど。 社交辞令だ。 「ところで、君の名前は?」 一応聞いておく。 名前も知らずに届けてもらうのはさすがの僕も気が引ける。 「み、未稀です。立花未稀。」 慌て気味の女子改め立花。 急いで帰ろうとする彼女に、声をかける。 「じゃあね」 すると彼女は驚いたように振り返り、笑みを浮かべていう。 「うん!また明日ね!」 そして、ドアを閉める。 ……また明日、か。 そんなもの、全くあてにならないというのに。
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