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2 涙
「相変わらずだなぁ…」
私はゆっくりと埃まみれの床を歩く。
東館自体はずいぶんと前に建てられたものだが、トイレは珍しいことに全て洋式だった。きっと当時はここを利用する女子が多かったのだろう。ここは、うちの学校の中でも一番広いトイレだ。
しかし、ある事件をきっかけに、東館には誰も近づかなくなった。
それはうちの生徒であれば誰もが知っていて、そして誰も話そうとはしない。いわば暗黙の掟というものだ。ちなみに私は入学してから事件のことを初めて知った。でも別に聞いてもなんとも思わなかったし、べつに気にするほどのことでもないと思った。
それに、大半の人は知らないと思うけど、東館の屋上は陽射しがよく当たるとても過ごしやすい穴場だ。天気がいい日は屋上にお弁当を持って行っている。ここなら静かだし、芝生が敷いてあるからお昼寝だって出来る。人見知りが激しい私にとっては教室よりも居心地がよく、安心できる場所だった。
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