2 涙

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ギィィィイィイ… ドアを開けるとやはり待っていたのは埃だらけの汚れた便器だった。水を流すレバーには立派な蜘蛛の巣が出来ている。汚れているのを除けば、普通の洋式トイレである。 ここが最後の場所になるのか…しかし、惨めな私にとってはここ以上にいい場所はない。 私はスカートのポケットからゆっくりと縄跳びを出した。この縄跳びが私を楽にさせてくれる。つい最近まで使っていたものだから、強度に関しては問題ないだろう。 ポケットのなかで温かくなった縄跳びを自分の首にくくる。そしてドアについているフックに余った紐を結んで準備完了。紐は2重にしてあるからロープほどの太さになっているし、あとはわっかをフックに掛ければ私の人生は幕を閉じる。
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