2 涙

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思えば実に悲惨な16年間だった。 小学生の頃から中学を卒業するまでイジメに遇い、必死で勉強して憧れの高校に入ったのに結局友達は1人も出来ないし。両親は共働きで帰ってくるのが遅いから夕食はいつも1人。愛情もなにもない家庭。あるのは冷たいお金。そんな環境で育てば誰だって死にたくなるに決まってる。 決して短くはなかったけれど、生きてしまった16年。さようなら、世界。お父さん、お母さん、お世話になりました。悲しむ人はいないだろう。それでいいんだ。 私はゆっくりと体に残っている息を全て吐き出した。まるでなにもかもリセットするような深い、深い息。一瞬、自分がなぜロボットではないのかと恨んだ。 足が少し震えていた。
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